- 1 はじめに
- 2 1. 目的とお客さま像を先に決める
- 3 2. ラインナップ設計:幅と価格の“物差し”を並べる
- 4 3. 価格の決め方:時間×難度×素材+“比較の言葉”
- 5 4. 撮影設計:600pxサムネで先に読ませる
- 6 5. 商品ページの“読み”の設計(ネット販売)
- 7 6. イベントのブース設計:3メートル・1メートル・30センチ
- 8 7. 実演と接客のスクリプト
- 9 8. 在庫・決済・返品の“見える化”
- 10 9. 梱包と開封体験:重くしない、香りを残す
- 11 10. SNSと告知:写真の“設計図”を再利用
- 12 11. データの拾い方:売れた理由を“仮説→検証”で残す
- 13 12. BtoB(卸・委託)の注意点
- 14 ケースレシピ(そのまま流用できる三本)
- 15 7分ドリル:写真と札だけ先に合格
- 16 よくある失敗とその場の直し方
- 17 まとめ
はじめに
作品は作って終わりではありません。
見られて、触られて、選ばれて、使われてからが本番です。
展示と販売の現場では、技術より前に「読みやすい顔づくり」と「買いやすい導線」が効きます。
写真は600pxで先に読ませる、価格は比較の物差しを並べる、会場は3メートル先から主役が分かる。
ここでは、イベント出展とネット販売を両輪にするための選品・価格・撮影・説明設計・ブースづくり・在庫と決済・梱包・アフターケアまでを、数値と手順を説明します。
- 要点
- 作品は「主役一点・準主役一点」の画面設計に統一
- 写真は斜光45度・半艶仕上げ・600pxサムネで判定
- 価格は三段提示、比較基準の“ものさし”を先に置く
1. 目的とお客さま像を先に決める
「誰に・何を・どんな場面で」使ってほしいかを一枚の紙に書き出します。
ここで迷うほど、選品と価格が散ります。
イベントは“初対面”、ネットは“検索と比較”。
狙いが違うので、同じ写真・同じ言葉は通用しません。
- 小さな設計
- イベント:触感・香り・立体感を見せる(実物勝負)
- ネット:読みやすさ・用途の具体・サイズ感(情報勝負)
- 共通:主役が先に読める画面、過剰な多色と金属面積を避ける
2. ラインナップ設計:幅と価格の“物差し”を並べる
並べ方で価値が変わります。
高価・中核・導入の三段を作り、視線動線を「入口(導入)→中核→高価」と流します。
各段は差分を明確に。工程数、素材、仕上げ、レース・手縫い・インレイなどの手間を数字で示すと納得されやすい。
- 三段の例
- 導入(ギフト・初購入):カードケース・キーホルダー。点主役。少色・半艶
- 中核(日常使い):長財布・名刺入れ。主役一点+準主役一点。曖昧化三列
- 高価(存在感):ベルト・バッグ前面パネル。面の段差・レタリング・オプション
3. 価格の決め方:時間×難度×素材+“比較の言葉”
時間は分単価、難度は係数(1.0〜1.6)、素材は実費、仕上げは係数(0.9〜1.2)で粗く算出し、最後に市場比較で±を決めます。
価格の裏付けを“言葉”で見せると、お客さまは安心します。
- 表示例
- 工程数 27/ベベル・ハーフムーン・曖昧化三列/手縫い9針/インチ/ベジタン2.3mm
- 表示は小さく一行。数字は過不足なく
4. 撮影設計:600pxサムネで先に読ませる
撮影は斜光45度、背景は無彩色、艶は半艶で統一。
主役の周囲に白い島と外周の明帯を残すと、スマホの画面でも立体が潰れません。
光点は二〜三ヶ所まで。角度は10度単位で微調整し、ギラつきを落とします。
- ミニチェック
- サムネイル600pxで主役が一秒以内に分かるか
- 黒がベタになっていないか(線方向拭きで細い黒に戻す)
- 反対色の直突きは白帯0.3〜0.5mmで分離
5. 商品ページの“読み”の設計(ネット販売)
ページは上から順に「用途→一枚写真→サイズ→特徴→工程→保証」。
最初の三秒で自分ごとになれば、後は読む人が増えます。
用途の文章は短く具体に。
「名刺30枚・片手で開く・商談の第一声を作る」。
工程は箇条書き最小限。
写真は俯瞰・斜光45度・手持ちサイズ比較・収納例・背面の合計5点を標準に。
- 要点
- タイトルは用途語+素材+型名
- 最初の写真は主役が先に読める一枚
- 最後に保証・メンテ・修理受付を明示
6. イベントのブース設計:3メートル・1メートル・30センチ
遠・中・近の三段で設計します。
3メートルで「何の店か」。1メートルで「何が主役か」。30センチで「買う理由」を読ませる。
- 3メートル(遠)
- 看板:店名と“革×カービング”が分かる一語
- メイン写真:斜光45度で段差が見えるものをA3〜A2
- 1メートル(中)
- 三段価格表:導入・中核・高価の差分を一行で
- 触って良いもの/触らないものを明示
- 30センチ(近)
- 商品札:用途・サイズ・収納・保証。価格の右に“ものさし”一語(例:手縫い9針/インチ)
7. 実演と接客のスクリプト
言葉は短く、動作で伝える。ベベルの一打、ハーフムーンの弱打、線方向拭きの一拭きを見せるだけで「手間」の理解が一気に進みます。
値段の質問には、数字ではなく“ものさし”で返すと角が立ちません。
- 返し方の例
- 「それは手縫い9針/インチで、段差を潰さないために針を細くしています」
- 「ここは折れ線なので段差を浅く、長く使えるようにしています」
8. 在庫・決済・返品の“見える化”
在庫はSKUで管理(色×型×工程)。会場はQRコード決済と現金、ネットはカード・コンビニ・銀行を標準に。
返品は「未使用・到着7日以内・往復送料どちら負担」だけを明確に。
修理メニューを価格表で出すと、購入後の不安が消えます。
- 最小の表示セット
- 在庫の有無/納期目安
- お支払い方法
- 返品・修理の条件
9. 梱包と開封体験:重くしない、香りを残す
重厚すぎる箱は負担になります。軽い箱+薄紙+ケアカード+完成写真一枚。
香りは強すぎない範囲で。箱の中で作品が動かないよう、面で受けるクッションに差し込みます。
- ケアカードの三行
- 水濡れ時の対処
- 色移り注意と衣類の色合わせ
- 半年ごとのワックス目安・ねじの増し締め
10. SNSと告知:写真の“設計図”を再利用
撮影の原版をそのまま使います。投稿の順序は「用途→一枚写真→工程一語→納期」。
ハッシュタグは素材・用途・地域の三種で固定。
イベント前は設営中の“3メートル視点”写真が有効。
ネット販売のリンクは短縮せず、商品名の直後に。
- 投稿テンプレ
- 一行目:用途の一言(例:商談で第一声を作る名刺入れ)
- 二行目:写真(主役が先に読める)
- 三行目:工程一語(手縫い9針/インチ/曖昧化三列)と納期
11. データの拾い方:売れた理由を“仮説→検証”で残す
会場は来客導線にカウンターを置き、気付きメモを同時に書きます。
ネットは商品ページのスクロールとクリック位置を見て、上位3秒で離脱しない構成に調整。売れた商品は「用途語」「価格帯」「工程タグ」をメモ。次回の選品が迷いません。
- 指標の最低ライン
- サムネイルのクリック率
- 商品ページ滞在時間
- カート投入率/イベントの試着・手持ち回数
12. BtoB(卸・委託)の注意点
委託は在庫拘束と値引きが発生します。
条件は「委託率」「支払いサイト」「破損・盗難時の責任」を先に。
卸はロットと再現性の勝負なので、ハイブリッド(レーザー基準+手仕上げ)でばらつきを抑えます。
いずれも“写真の設計”と“工程の言葉化”が信頼の源です。
ケースレシピ(そのまま流用できる三本)
A:イベント卓上セット(900mmテーブル想定)
構成:大写真A2一枚、価格三段パネルA4、導入5点・中核7点・高価3点、実演スペース200mm。
導線:左から導入→中核→高価。中央に“用途別”立て札(名刺・キー・財布)。
道具:ハーフムーン・ベベル・ビーディング・薄BGの刻印だけ。
狙い:3メートルで店の正体、1メートルで主役、30センチで買う理由。
B:オンライン商品ページ雛形
1枚目:主役が先に読める斜光45度。
2枚目:手持ち比較(男性/女性)。
3枚目:収納例(名刺30枚など)。
4枚目:背面とコバ。
5枚目:工程ダイジェスト(曖昧化三列・手縫いピッチ)。
テキスト:用途→サイズ→工程→保証→納期。
C:価格表テンプレ(A5カード)
表面:三段表示(導入・中核・高価)+差分一行
裏面:工程タグ一覧(手縫い9針/インチ、曖昧化三列、レタリング頭文字、ハイブリッド)
7分ドリル:写真と札だけ先に合格
1分:主役一点・準主役一点で“600pxサムネ合格”の写真を撮る。
2分:A5価格カードを三段で作り、差分一行を書く。
2分:商品札に用途・サイズ・保証・納期を一行ずつ。
1分:イベント卓上の並びを紙で模擬し、3メートル・1メートル・30センチの視点チェック。
1分:ネットの商品ページに写真5枚と見出しだけ入れて下書き保存。
- 覚え書き
- 写真は半艶・斜光45度・無彩背景
- 価格は三段、差分は工程と素材
- 札は“用途の一言”から始める
よくある失敗とその場の直し方
写真がのっぺり:艶を半艶に統一、斜光45度へ角度を戻す。アンティークを線方向で拭き直し、ベタ黒を細い黒へ。
高いと言われる:価格の差分を一行で提示。手縫いピッチ、段差保護、素材厚を“ものさし”に。
ブースが雑然:主役一点・準主役一点以外を一時撤去。金属の点光を二〜三点に絞る。
ネットで売れない:一枚目の写真を差し替え。用途語をタイトル頭に。保証の行を追加。
返品が増えた:サイズ表に“実測と許容差”を追記。用途文を具体化し、収納写真を一枚追加。
- 即効処方
- 600pxサムネで読み判定、合格しないものは並べない
- 価格は三段、導入を入口に置き、中核へ引く
- 札と写真を整え、言葉は短く具体に
まとめ
展示と販売は、設計の延長です。
主役が先に読める画面、三段の価格と差分、用途の一言と保証。
イベントは3メートル・1メートル・30センチで設計し、ネットは600pxサムネで判定する。
写真の設計図をSNSと会場で使い回し、データで仮説検証を回す。
これだけで、作品は“静かに強く”選ばれ、日々の道具として長く使われます。
注釈
[注1] 写真判定は斜光45度・半艶・無彩背景・600pxサムネを基準。主役→出口の順で読めなければ採用しない。[注2] 価格の三段は“導入・中核・高価”。差分は工程と素材で言語化。値引きより“ものさし”提示が有効。
[注3] ブースは3メートル・1メートル・30センチの三視点。遠景で正体、中景で主役、近景で買う理由。
[注4] 商品ページは用途→写真→サイズ→工程→保証→納期。写真は俯瞰・斜光・手持ち比較・収納・背面の5点を標準に。
[注5] 返品条件・修理メニュー・納期目安は“買う前に見える”場所へ。安心が購買率を底上げする。
