クロコダイル製品、パイソン製品は現地の工場に直接製作依頼し、熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド。大量生産では決して真似できない、細部にわたる職人のこだわり。本物を求めるあなたにも手に取っていただきたいと願っています。

【第107回】レーザーカットと手彫りのハイブリッド作品とは?

はじめに

はっきり言います。レーザーは「楽をする道具」ではありません。

正確さと再現性を担当し、手彫りは質感と奥行きを担当します。

役割を分けるだけで、同じ図案でも仕上がりは別物になります。

機械で輪郭を整え、人の手で呼吸を入れる。

ここでは、設計の考え方からデータ作成、焦げ対策、刻印順、色と仕上げ、現場で起こりやすい失敗の処方までを説明します。

  • 要点
    • レーザーは基準と反復を、手彫りは段差と明暗を担当
    • 先に禁則と明帯を決め、データ段階で触らない場所を宣言
    • 半仕上げで一度止め、成形や含水を挟んでから手で仕上げる

ハイブリッド作品とは何か(役割分担の設計)

レーザーは図案の外形、位置合わせ、反復精度が抜群です。

ただし、線の厚み、押し跡、稜線の白は苦手領域。

逆に、手彫りは起伏と光のコントロールが得意です。

つまり、輪郭や基準線は機械に任せ、段差・稜線・陰影は手で作るのが最短ルートです。

  • 使い分けの原則
    • レーザーでやること:外形カット、位置合わせ刻印、浅いガイド、規則模様の下書き
    • 手彫りでやること:ベベルで立体、ハーフムーンで面落とし、ビーディングと薄い背景で階調化、短浅影で締め

事前設計:禁則と明帯を先に描く

機械に任せるほど、図案の触ってはいけない場所を先に決める必要があります。

外周の明帯は2〜3ミリ、出口側は0.3〜0.7ミリ広く。

折れ線や金具近傍は5〜8ミリの禁則帯。

主役の外周1.5〜2ミリは、レーザーの焼きも手彫りの濃色も禁止にして読みを守ります。

  • 小さな規則
    • データ上に明帯と禁則を別レイヤーで保持
    • 主役は必ず一つ、準主役は一つまで
    • 600pxサムネで先に読めるかを設計段階でチェック

データ作成(SVG/DXF)のコツ

曲線は少ない点で滑らかに。

ベジェのハンドルを伸ばし、節点は減らすとレーザーの走りが安定します。

ラスター彫りに頼らず、ベクトル線を浅出力でガイド化するのが後工程が楽になります。

  • データの作法
    • カット線・ガイド線・彫り線・禁則を色や線種で分離
    • 角は微小Rを付け、ヒートスポットを作らない
    • バスケット等の規則模様はブロック化し、中断ラインを用意

レーザー出力の基準(目安)

革厚2.0〜2.5ミリ、植物タンニン鞣しを前提にします。

機種差は大きいので、端革で必ずテストしてください。

  • 目安
    • 外形カット:低速・中出力。焦げを抑えるなら紙マスクを併用
    • ガイド線(浅彫り):高速・低出力。スコアラインとして消せる浅さで
    • 微細パターンの下書き:ラスターは薄め。面で埋めない

焦げ・煤のコントロール

焦げが段差と混ざると、立体が濁ります。

紙マスキングや湿り布で熱を逃がし、カット後はマスクごと剥がして煤を連れ去る。

拭き取りは乾拭きから始め、湿り拭きは最小限。

含水は「帯」で与え、作業は乾き切る前に行います。

  • 失敗回避
    • 黒ずみが広がる:マスクで防ぎ、擦らず置いて拭く
    • パス端が毛羽立つ:角に微小R、出力を一段下げて二周カット
    • ガイドが深すぎる:レーザーでは見えるか見えないかに留める

ハイブリッドの作業順(基本形)

一気に最後まで機械でやらないこと。半仕上げで止めて、手で呼吸を入れます。

  1. データに禁則と明帯をレイヤー化
  2. 紙マスク→外形カット→浅いガイド(骨格・レタリングのベースラインなど)
  3. 乾拭き→帯ケーシング→浅カット
  4. ベベルで段差を立てる→ハーフムーン弱で面落ち→ビーディング→薄い背景
  5. 短浅影0.3〜0.5ミリを境界側に一点→アンティークは線方向拭き
  6. 半艶トップで艶を統一
  • 注意
    • レーザーの線は“段差”ではない。段差はベベルで後から作る
    • ラスターで面を黒くしない。面の明暗は手で作る

三つの代表メソッド

メソッドA:外形と位置決めをレーザー、彫りは手で

用途:ロングウォレット、ベルト端、名刺入れ外装
流れ:外形と位置合わせ用の十字だけ浅出力→紙マスクのままケーシング→手彫りで段差→マスク剥がし→線方向拭き
効きどころ:機械はまっすぐ切る、人は光を置く

メソッドB:浅い線で彫るべき場所だけガイド

用途:フローラル、スクロール、レタリング
流れ:骨格のS・Cを浅スコア→浅カットはガイドの脇を歩かせる→ベベル→面落とし
効きどころ:ガイドは狭すぎない幅で、刃が迷わない

メソッドC:規則模様だけ機械、主役の周りは手仕上げ

用途:バスケットの均一化、幾何の反復
流れ:ブロック単位で薄ラスターまたは極浅スコア→半目で終端→曖昧化三列で唐草へ
効きどころ:刻印の“列崩れ”が消え、主役が浮く


レタリングと読みの確保

読みが最優先。三つのガイド(ベース・xハイト・傾き)をレーザーでごく浅く刻み、主線は手で細く深く。

カウンターは浅く保ち、交差は白抜き。刻印や濃色は文字外周1.5〜2ミリに入れない。

  • 失敗回避
    • ガイドが濃すぎて文字が沈む:出力を一段下げる
    • 主線が太る:刃の寝かせ過ぎ。角度を立て、速度を落とす

バスケット・幾何の扱い

全面をレーザーの面彫りで埋めるとベタ黒になり、手の階調が死にます。

列の開始と終端に半目を挟み、ハーフムーン弱→ビーディング→薄い背景で曖昧化。

角の返しは一段オフセットで柄を小さく折り返すと崩れません。

  • 目安
    • BPMは一定(例:90±5)
    • 終端は半目で密度を落とし、境界側に短浅影一点

染色・アンティークとレーザー痕

レーザー痕はアンティークを強く吸います。

線方向で軽く拭き、痕にだけ濃色が溜まらないように。

反対色は白帯0.3〜0.5ミリで緩衝。トップは半艶で艶を統一します。

  • 小さな規則
    • 支配60・副次30・アクセント10
    • 明10%(外周・白島・緩衝帯)を削らない
    • メタリックは点で。面に乗せない

ケースレシピ(数値入りでそのまま使える)

A:ロングウォレット フローラル×45度バスケット

設計:外周3ミリ明帯、主花は右上三分割交点。
機械:外形カット→骨格のSを浅スコア→バスケットはブロックの薄ラスター(2ブロック)
手:浅カット→ベベル→ハーフムーン弱→ビーディング→薄BG→半目→曖昧化→線方向拭き→半艶
狙い:規則は機械、立体は手。主役周辺は緩衝2ミリで空気を残す

B:二つ折り レタリング頭文字×七宝一列

設計:文字外周1.8ミリ禁止帯、外周2.5ミリ明帯。
機械:3ガイドを極浅スコア→外形カット
手:主線細深→交差白抜き→七宝は浅打ち×低彩度で一列→曖昧化→線方向拭き
狙い:読みを壊さない。レーザーは“定規”だけに使う

C:名刺入れ 外装スクロール×位置合わせ穴

設計:折り線禁則8ミリ、外周3ミリ明帯。
機械:位置合わせ用のピンホールを角にごく浅く→骨格スコア
手:仮合わせ→浅カット→ベベル→薄BG→線方向拭き→半艶
狙い:組み後のズレを消す。穴は浅く、表から見えないレベルに


7分ドリル ハイブリッドの“加減”だけ先に合格

1分:端革に禁則と明帯をペンで描く。
2分:レーザーで骨格のSを極浅スコア。外形は切らない。
2分:浅カット→ベベル→ハーフムーン弱→ビーディング→薄BG。
1分:薄ラスターのバスケットをブロック単位でのせ、半目→曖昧化。
1分:斜光45度・600pxサムネで主役が先に読めるか確認。読めなければ、機械の出力を一段下げ、手の段差を一段上げる。

  • 覚え書き
    • 機械は「線の位置」、手は「線の厚み」
    • 面をレーザーで埋めない
    • 仕上げは半艶で艶統一

よくある失敗とその場の直し方

焦げが広がる:紙マスクで再実験、出力を下げ二周カット。こすらず剥がす。
ガイドが強すぎる:出力を一段下げ、乾拭き後に帯ケーシングで馴染ませる。
主役が沈む:緩衝+0.5〜1ミリ、バスケットを一列削減、短浅影を境界側に一点。
面がベタ黒:ラスターはやめ、ブロック単位のスコアに切り替える。
写真でギラつく:半艶に統一、斜光45度固定、角度を10度単位で調整。

  • 即効処方
    • レーザーの役目を“基準と位置”に縮小
    • 手のベベルとハーフムーンで段差を取り戻す
    • 600pxサムネで読めなければ設計に戻る

まとめ

ハイブリッドは、機械と手の役割分担です。

レーザーで基準を作り、手で立体を作る。

禁則と明帯を先に宣言し、半仕上げで止めてから仕上げ直す。

面は埋めず、線の厚みと稜線の白で画面を立たせる。

これだけで、再現性と温度の両立が叶います。


注釈

[注1] 出力・速度の数値は機種と個体差が大きい。必ず端革でテストし、焦げ・毛羽・溝深さを確認してから本番へ。
[注2] 紙マスキングは焦げと煤の拡散を抑える手段。剥がす際に擦らず、面で持ち上げる。
[注3] ラスターの多用は禁物。面を黒く塗るほど手の階調が死ぬ。ブロック単位のスコアか、刻印で面を落とす。
[注4] 明帯2〜3ミリ、主役外周1.5〜2ミリ、禁則5〜8ミリは読みと耐久の基準。用途や革の硬度で0.3〜0.5ミリ広げる。
[注5] 最終判定は斜光45度・半艶・600pxサムネ。主役が先に読めなければ、機械出力を下げ、手の段差と緩衝を増やす。
最新情報をチェックしよう!
></img>完全限定生産 熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド

完全限定生産 熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド

大量生産では決して真似できない、細部にわたる職人のこだわり。そのこだわりが、当店のクロコダイル、パイソン作品には詰め込まれています。本物を求めるあなたにもぜひ手に取っていただきたいと願っています。華やかなブランドロゴや大量生産品では決して得られない、唯一無二の価値を感じていただけるはずです。

人生を共に歩む「相棒」として、あなたの毎日を豊かに彩り、特別な存在となるでしょう。

CTR IMG
モバイルバージョンを終了