※本記事は「クロコダイル製品の品質と価格差」で紹介されている“ブランド品とタイ製ノンブランド品、素材原価は実は同じ?”を詳しく掘り下げた記事です。
「ラベルの違いか、それとも本質の違いか──“同じ革”が語る価格差の真実」
はじめに|クロコダイル財布“値段の差”は“革の差”ではない?
クロコダイル財布には、ブランド製とノンブランド製が存在し、その価格差は数倍以上に及ぶこともあります。
多くの消費者は「高い=上質な革」と捉えがちですが、その前提は本当に正しいのでしょうか?
本記事では、原皮の供給元・素材原価・販売構造・価格構成の観点から、クロコダイル財布の実態を検証し、「価格差=革の差ではない」ことを事実に基づいて明らかにしていきます。

クロコダイル革の供給源は世界でも限られている
実はブランド財布もノンブランド財布も、原皮の多くは同じ供給源から来ています。その事実について、以下の記事でより詳しく解説しています。(第53回|革の原産地の実態)
同じ養殖場から出荷される“高級原皮”
世界のクロコダイル原皮流通は**CITES(ワシントン条約)**によって厳格に管理されており、国際取引は認可を受けた養殖場に限られています¹。
主要な養殖原皮の種類と供給地は以下の通りです:
- シャムワニ(タイ):柔らかく均整の取れた鱗模様
- イリエワニ(パプアニューギニア):高級感ある光沢と張り
- ナイルワニ(南アフリカ):スケールが大きく迫力のある表情
この中でも特に人気が高いのが、**シャムワニ(Crocodylus siamensis)**です。タイ国内の養殖場から出荷される高等級の原皮は、欧州の高級ブランドとタイの工房の両方で採用されています²。
つまり、「使われている革の出所は同じ」という事実があるのです。
原価に見る“革の純度”と価格構成の違い
仕入価格はブランドもノンブランドも同等水準
日本皮革産業連合会の調査³では、クロコダイル革の価格帯はサイズと等級によって決まり、大手ブランドもノンブランド工房も同じ等級・供給元から仕入れているケースが多数確認されています。
価格差が生まれるのは、「その後」の構造です。
ブランド価格に含まれる“革以外のコスト”
ハイブランド製品が高額になる理由の多くは、以下の要素が大きく関係しています⁴:
- 大規模な広告宣伝費・モデル起用料
- 商品開発・デザイン・店舗維持費
- 卸業者や百貨店へのマージン(3〜5割)
- ブランドイメージ構築のためのイベント・PR
これらの「素材以外のコスト」が、製品価格を押し上げているのです。
タイ製ノンブランド財布の価格構成は“素材と手仕事”に集中
一方、タイ製ノンブランドの財布では以下の特徴があります:
- 広告を行わない
- ブランド維持コストがない
- 販売は直販・オンライン中心
- 工房直送で中間マージンがゼロに近い
つまり、価格の大部分が「革そのもの」と「職人の手仕事」に対する正当な対価となっているのです。
同じ革、異なる価格へ──流通構造の比較
価格差の原因が“革の質”でなく、流通や中間コストにあることはあまり知られていません。その構造を掘り下げた記事もぜひ参考にしてください。(第56回|コスト構造の違い)
| 比較項目 | ブランド品 | タイ製ノンブランド品 |
|---|---|---|
| 革の仕入元 | CITES管理下の同一供給元 | 同左 |
| 加工工程 | 工場での量産・一括管理 | 工房での少量生産・手裁断 |
| 販売ルート | 百貨店・専門店を経由 | 自社EC・展示会など直販 |
| 価格構成 | 多層マージンと広告費を加算 | 革と職人技への対価が中心 |
| 消費者価格 | 高価格帯(ブランド含む) | 素材に準じた適正価格帯 |
この構造の違いこそが、「価格の差」を生む最大の要因です。
消費者の声|「革は、触ればわかる」
MITAKANO CRAFTで財布を購入した50代の男性経営者の声:
「ブランド財布と比べても、こちらの方がしなやかでウロコの並びも美しい。ラベルではなく“質感”が語る時代だと感じた。」
このように、“本物志向”の消費者は、価格よりも「革そのものの力」に価値を見出す傾向が高まっています。
「等身大の高級品」を届けるという選択
素材の良さと手仕事の温もりを最大限に活かした“等身大の高級品”という価値観は、近年ますます支持を集めています。その意識の変化については以下の記事でも考察しています。(第64回|製品価値とブランド信仰)
タイ製クロコダイル財布が評価されている理由は、単に価格の安さではありません。
それは、「素材に正直」「構造が透明」「手仕事が見える」こと。
そこに含まれる価格は、
- ブランド名の幻想
- マーケティングでの上乗せ
- 過剰包装や店舗維持費
といった“革以外のコスト”を排除し、純粋に素材と技術の価値に対して支払われる価格です。
まとめ|“名前”でなく“中身”で選ぶ時代へ
クロコダイル財布において、「ブランド品とノンブランド品の価格差は革の質によるもの」という常識は、もはや神話です。
- 素材原価は供給元・等級が同じであることが多い
- 価格差は構造と販売手法によって生じている
- 消費者は“中身”で選ぶ時代へとシフトしている
名前ではなく、革と職人の手から生まれた「本物の価値」。 それこそが、現代の知的消費者が選ぶべき、クロコダイル財布の新しい基準です。
クロコダイル製品の品質と価格差について、もっと広く知りたい方へ──
本記事は「クロコダイル製品の品質と価格差」にて取り上げている“ブランド品とタイ製ノンブランド品、素材原価は実は同じ?”に関連した内容です。
📚参考文献
- CITES Trade Database https://trade.cites.org
- タイ商務省「Crocodile Skin Exporters Directory 2023」
- 日本皮革産業連合会「クロコダイル原皮の市場価格と需給に関する調査報告書」(2023年)
- 経済産業省「高級ブランド製品における価格構成分析」(2021年)
- タイ工業省「OTOP工房における裁断・選別プロセス報告書」(2022年)



