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【第29回】カービング用ハンマー・モールの違いと使い方

正しい道具選びが刻印の美しさを決める

はじめに──「叩く道具」が仕上がりを左右する

レザーカービングに取り組んでいて、「刻印がブレる」「深さが一定にならない」「長時間作業で腕が疲れる」と悩んだ経験はありませんか?
その原因の多くは刻印や革質よりも、打刻に用いる道具=ハンマーやモール(マウル) にあります。

カービングの美しい模様を支えるのは、繊細かつ安定した打刻。道具選びを間違えると、どれだけ図案や刻印を工夫しても思うような仕上がりにはなりません。
本記事では「ハンマーとモールの違い」をテーマに、それぞれの構造や用途、メリット・デメリット、さらに正しい握り方や練習法、失敗しやすい点と改善策まで詳しく解説します。


ハンマーとは──直線的で力強い打撃の道具

基本構造

ハンマーは木槌・真鍮槌・スチール製などさまざまな種類があり、平らな打面を持つのが特徴です。

メリット

  • 直線的な力が伝わりやすいため、抜きポンチやカシメ打ちに最適。
  • 一撃の強さが安定し、確実な打ち込みが可能。
  • 比較的安価で手に入る。

デメリット

  • 打音が高く、集合住宅や夜間作業には不向き。
  • 刻印の頭を直接叩くと傷がつく場合がある。
  • 長時間使用で前腕に負担がかかりやすい。

適した用途

  • カシメ・ホック・リベット留め
  • 抜きポンチや菱目打ちの補助
  • 強い一撃が必要な場面

モール(マウル)とは──反発力とリズムを活かす道具

基本構造

モールは円筒状の樹脂ヘッド+テーパーグリップで構成されます。ヘッドはデルリンやポリエチレン製が一般的で、刻印の頭を傷つけにくいのが特徴です。

メリット

  • 反発力を利用してリズム良く連打できる
  • 長時間作業でも疲労が少なく、細かい模様に向く。
  • 打音が低めで静音性が高い。

デメリット

  • 価格がやや高い。
  • 瞬発力を必要とする打撃には不向き。

適した用途

  • 花や唐草などの繊細なベベリング
  • 背景消しの均一打ち
  • 一定リズムで刻印を沈める作業

握り方と打ち方のコツ

ハンマー

  • 柄の末端を握り、肘と手首で直線的に振り下ろす。
  • 刻印頭の中央を水平に捉える。
  • 強打よりも「必要最小限で沈める」感覚を意識。

モール

  • ペンのように握り、グリップを手首で転がす。
  • ヘッドを斜めに当て、反発を利用して次の一打につなげる。
  • 一打ごとにリズムを保つことで均一な打痕が得られる。

重量とサイズの選び方

  • 初心者向けモール:300〜400g前後。扱いやすく刻印練習に最適。
  • 中級者向けモール:450〜600g。背景処理や面均しに力を発揮。
  • ハンマー:200〜500g。カシメや抜きポンチ用に1本持つと便利。

グリップの太さは手の大きさに合ったものを選びましょう。指が自然に巻き付くサイズが疲労を軽減します。


練習メニューで身につける

  1. 一定深度の連打:直線上に刻印を打ち、すべて同じ深さに揃える。
  2. ベベラーの帯練習:帯状のラインを連打で埋め、ムラなく影をつける。
  3. テンポ練習:メトロノームを使い、60→80→100とテンポを上げながら刻印を均一に打つ。
  4. 角度練習:刻印を傾けて打ち、陰影の違いを確認する。

よくある失敗と改善策

  • 刻印が傾く → 打つ前に刻印を静止させ、水平を確認。
  • 打痕がムラになる → 力任せに打たず、回数を分けて徐々に沈める。
  • 音が大きい → 打ち台にゴムシートを敷き、モールを使用する。
  • 疲れる → 重量を見直すか、握り方を改善する。


まとめ──自分に合った道具で刻印が変わる

ハンマーとモールは一見似ているようで、使い方も用途もまったく異なります。

  • ハンマーは直線的な力を活かし、金具打ちや抜き作業に最適。
  • モールは反発を利用して繊細な刻印を美しく仕上げる。

作業環境・体格・作風に応じて正しい道具を選べば、刻印は安定し、作品の完成度は一段と高まります。
「どんな道具で叩くか」──それがレザーカービングのクオリティを決める分岐点です。


📑 参考文献

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完全限定生産 熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド

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