※本記事は「クロコダイル製品の品質と価格差」で紹介されている“タイ製品品質が上がった理由と裏付け”を詳しく掘り下げた記事です。
「“安かろう悪かろう”はもう過去──タイ製クロコダイル財布の実力、その根拠」
はじめに|タイ製クロコダイル財布=粗悪という時代錯誤の終焉
「タイ製の財布は安いけど品質は……」そんな印象は、もはや過去のものです。
現代のタイ製クロコダイル財布は、日本やヨーロッパの市場で高く評価されており、革の質、縫製、製造体制すべてにおいてグローバル水準に達しています。その背景には、政府主導の革産業支援、技術訓練、輸出基準の厳格化といった明確な理由があります。
本記事では、「なぜタイ製クロコダイル財布の品質がここまで向上したのか」を、5つの事実ベースの理由と証拠をもとに解き明かします。

理由1:OTOP制度によるクロコダイル財布の品質と技術の底上げ
タイ政府は2001年より「OTOP(One Tambon One Product)」制度を導入し、地方の皮革工房に技術指導・品質認証支援を行ってきました²。
この制度により、数多くのクロコダイル工房が「5つ星認定」を獲得。中には、日本やEUへと輸出される製品を製造するレベルまで成長した事例もあります³。
OTOP制度の技術研修では、コバ処理、裁断技術、ミシン精度の統一など、細部にわたる品質管理が徹底され、タイ製クロコダイル財布の完成度を押し上げました。
理由2:ISO・GMPなど国際認証の取得
こうした品質証明の背景には、流通や価格構造の違いも関係しています。(第56回|タイ製が安い理由)
タイの主要工房の多くが、ISO9001、GMP、HACCPといった国際認証を取得しており、これが製造プロセスの透明性と品質の安定性を支えています。
特にレザークラスター(Leather Cluster Thailand)による横断的な連携では、技術研修や検品制度の共有により、ばらつきのない安定品質が確保されています⁴。
理由3:クロコダイル輸出額の増加と国家戦略
価格帯の広がりと国家戦略の関係は、実際の市場価格にも表れています。(第52回|価格差の実例比較)
タイ商務省のデータによれば、クロコダイル製品の輸出額は2013年比で2022年には約2.7倍に増加⁵。
その背景には、King Mongkut’s大学付属の皮革研究機関や、政府の「輸出型製品強化プロジェクト」があり、製品は出荷前に検査・証明書発行を経て、正規ルートで世界中に供給されています。
これは、品質管理が制度化されていることの強力な証左です。
理由4:欧米・日本ブランドのOEM拠点
日本やフランス、イタリアの高級ブランドが、実はタイの工房にOEM生産を委託しています。
経済産業省の調査報告書⁶でも、タイは日本の主要皮革製品供給国のひとつとされ、実際に製品表示には「Made in Japan」でも、素材・縫製がタイである例が少なくありません。
このような厳格な品質基準に適応する中で、タイの工房は一流ブランドの要求水準に応える技術を磨いてきました。
理由5:皮革教育制度と熟練職人の育成
タイには皮革産業に特化した職業訓練校が存在し、Nakhon Sawan大学などでは、財布製造・デザイン・手縫い技術などを体系的に学べるカリキュラムが整備されています⁷。
卒業生は、北部から中部までの工房に就職し、各地で技術の継承と革新を進めています。これにより、タイ国内の全体的なクラフトレベルが大きく向上しました。
実際の評価|日本市場が認めたタイ製クロコダイル財布の実力
こうした評価の背景には、文化的なクラフト思想の違いも大きく影響しています。(第59回|文化的アプローチの違い)
東京都台東区の輸入業者K.L.Tレザー代表はこう語ります:
「最近のタイ製は、コバの美しさや芯の仕込みなど、日本製と遜色ない仕上げが多い。価格差以上の完成度を感じるケースもある」 (2023年インタビュー)⁸
また、日本皮革産業連合会が主催する2022年のジャパンレザーアワードでは、タイ産クロコダイル革を使用した製品が準グランプリを受賞⁹。素材そのものの実力が日本でも高く評価されている証左です。
まとめ|安いから劣る、ではないクロコダイル財布
タイ製クロコダイル財布の品質は、国家戦略、教育制度、国際認証、OEM実績といった**“事実に裏付けられた積み重ね”**によって確立されています。
「どこで作られたか」ではなく、「誰が、どう作ったか」。その答えがタイである時代に、私たちはいます。
本物志向の方こそ、ぜひ一度、タイの老舗工房が手掛けたクロコダイル財布を手に取ってみてください。
クロコダイル製品の品質と価格差について、もっと広く知りたい方へ──
本記事は「クロコダイル製品の品質と価格差」にて取り上げている“タイ製品品質が上がった理由と裏付け”に関連した内容です。
📚参考文献
- タイ商務省「Thailand’s Crocodile Industry Outlook 2023」
- OTOP公式サイト:https://otop.go.th
- タイ産業省「OTOP認定製品データベース2022」
- Leather Cluster Thailand報告書(2021)
- タイ商務省貿易統計データ(2022)https://tradereport.moc.go.th
- 経済産業省「海外皮革製品生産拠点調査報告書」(2020年)
- Nakhon Sawan Rajabhat University 公式資料
- レザーニュース(2023年6月号)KLT代表インタビュー記事
- ジャパンレザーアワード2022 https://japan-leather-award.jp
