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【第99回】カービングとスタンピングの融合テクニック

はじめに

カービング(線と面の起伏)とスタンピング(繰り返しのリズム)を足すと、画面は一気に“整う”か“崩れる”かの二択になります。

違いは設計順と境界処理

ここでは、基準線→密度配分→境界の曖昧化→作業順を固定し、バスケットや幾何学、ボーダー刻印を、唐草・レタリング・フィギュアに自然接続する手順を通します。

要点は、面は刻印で落とす/主役は彫りで立てる/境界は3列でならすです。


設計の前提:基準線と“密度の地図”

最初に基準線(データム)を引きます。ロング財布なら長辺と45°の交点、二つ折りなら背側から平行線。柄物(バスケット・幾何)は基準線に対して等ピッチで並べ、角へ向かうほど密度が上がらないよう、中断ラインを1本用意します。

密度は60(主役)/30(準)/10(背景)の配分で、“10”に刻印をまとめると主役が浮きます。

  • 要点(2割の箇条書き)
    • 先に基準線、次に中断ライン(行の切替点)
    • 主役周囲緩衝1〜3mmは刻印を避ける
    • 出口側外周は+0.3〜0.7mm広く(光の逃げ道)

作業順の鉄則:ベベル→面出し→境界3列→アンティーク

順番を崩すと段差が濁ります。

そこで、以下の様に順序を決めるとやり易くなります。

  1. カット&ベベル(主役の段差を作る)
  2. 面のスタンピング(バスケット・幾何・ボーダー)
  3. 境界の曖昧化3列(ハーフムーン薄→ビーディング→薄BG)
  4. 必要ならシャドウライン0.3mm(影側)
  5. アンティーク線方向拭き(“細い黒”だけ残す)
  • メモ
    • 刻印後に深いベベルを足すとになりやすい
    • 斜光45°を前提に、境界の反射をテストしてから進む

バスケット×唐草:角・終端・境界のコツ

角の返しは崩れの温床。45°基準のバスケットは、角手前で一段オフセットして“V字の継ぎ”を小さくします。

終端半目(ハーフインプレッション)で密度を落とし、曖昧化3列に受け渡す。唐草側は緩衝1.5〜2mmを残し、渦心の外に白い島1〜2mmを一つ。

  • 小さな規則
    • 同一行のBPM一定化(例:90±5)でムラ防止
    • 柄の“流れ”は骨格の入口→出口と平行
    • バスケット境界に短浅影1点だけ足すと起伏が見える

幾何学(七宝・麻の葉)×レタリング:読みを守る

レタリングの読み>装飾が最優先。3ガイド(ベース・xハイト・傾き)を作図し、文字の外周1.5〜2mmはスタンピング禁止帯。

幾何は低彩度×浅打ち3×3ブロック単位に留め、交点の白窓を残し、影は短浅1〜2点に限定。

  • 文字が沈む時の手当
    • 禁止帯を+0.5mm広げる
    • 幾何の列を1段薄く or 1列削減
    • 交差部に白抜けを入れて可読性を戻す

フィギュア(動物)×幾何背景:面の高低差で分ける

動物は面のグラデ瞳の白点が主役。

背景の幾何は浅打ち+低彩度で“空気”に回します。

首のS字の外側に曖昧化3列を挟み、幾何の規則正しさを1列だけ崩すと、動物の自然さが立ちます。

  • 仕上げの順
    • フィギュアの面出し→幾何浅打ち→曖昧化→線方向拭き
    • ドライブラシは稜線だけ(塗り広げない)

ボーダー刻印の“止め方”:ミゾ・コバ・金具周り

ボーダーはミゾ切り(グルーバー)で走路を作り、角は留め(45°)より“回し”が崩れにくい。金具近傍は5〜8mmを禁止帯に。止め際は半目→ハーフムーン薄→ビーディングの順で柔らかくフェードさせます。

  • 角の失敗回避
    • 角手前2打弱打にする
    • 角の内側に白窓1mmを残す(反射を拾わせる)

密度の整え方:60/30/10の配置と“中断ライン”

スタンピング面が画面を食いやすい場合、中断ライン(柄を止める見えない線)を作り、60(主役)/30(準)/10(背景)に再配分。10の領域に刻印の最終行を置き、半目+曖昧化3列で消すと、主役の白(明10%)が守られます。

  • 目印
    • 中断ラインは骨格と平行
    • 10の帯には柄の“端面”を見せない(半目で終える)

ケースレシピ(3本)

A:ロング財布|唐草×バスケット(45°)
設計:45°基準線→唐草の主花を右上三分割交点。
工程:カット&ベベル→45°バスケット(BPM一定)→角手前で1段オフセット→半目終端→曖昧化3列→線方向拭き。
効きどころ:主花周囲緩衝2mm、渦外の白島、境界の短浅影1点

B:二つ折り|レタリング×七宝
設計:3ガイド→文字外周1.8mm禁止帯。
工程:文字ベベル→七宝は3×3ブロックを2島配置→交点白→曖昧化→短浅影1点。
効きどころ:読み優先、和柄は低彩度×浅打ち

C:名入れタグ|ボーダー×小花
設計:外周2.5mm→ミゾで走路→角は“回し”。
工程:小花ベベル→ボーダー刻印→半目止め→ハーフムーン薄→ビーディング→薄BG→線方向拭き。
効きどころ:角内側白窓1mm、出口側外周+0.5mm。


7分ドリル(端革で“接続”だけ確認)

1分:45°基準線と中断ラインを引く。
2分:バスケットを5×5打、角返しの1段オフセットを試す。
2分:唐草の渦を1つ刻み、緩衝2mm+白島を置く。
1分:曖昧化3列(ハーフムーン薄→ビーディング→薄BG)。
1分:アンティーク線方向拭き→600pxサムネで主役が先に見えるか確認。見えなければ、刻印面を1列削減し、緩衝を+0.5mm。

  • 覚え書き
    • 刻印はBPM一定、強弱は行単位で管理
    • 境界は半目→3列でフェード
    • 主役周りの明10%(緩衝・白島・外周)を削らない

よくある失敗 → その場で直す

境界が“崖”:半目で終端→曖昧化3列を追加。
柄が曲がる基準線から再起、中断ラインで切り、列をリセット
主役が沈む:緩衝+0.5〜1mm→刻印列を1段薄く or 1列削減
文字が読めない:禁止帯拡張→交差に白抜け→影は短浅1点へ。
写真でざわつく:アンティークを線方向再拭き→半艶トップ→無彩背景で再撮。


まとめ

融合の鍵は、設計の順番と境界処理です。

  • 先に基準線・中断ライン・緩衝帯を決める。
  • ベベル→刻印→曖昧化3列→線方向拭きの順を守る。
  • バスケット・幾何は浅打ち×低彩度で支え役に、主役は彫りで立てる。
    これだけで、カービングの立体とスタンピングのリズムが無理なくつながります。

注釈

[注1] BPM一定:打刻テンポのばらつきは“段差のムラ”として見える。メトロノームや短いカウントで一定化すると密度が揃う。
[注2] 半目(ハーフインプレッション):終端で刻印を半分だけ当て、硬い終わり方を避ける。曖昧化3列の受けに最適。
[注3] 曖昧化3列:ハーフムーン(弱)→ビーディング→薄BG。段差の“崖”を階調に変える基本レシピ(第63・69回参照)。
[注4] 禁止帯:主役外周1.5〜2mmは刻印・濃色を避ける帯。レタリングの可読性や主花の“明10%”を守る役割。
[注5] 撮影確認:半艶トップ×斜光45°で稜線の白と刻印の陰影を拾い、600pxサムネで主役が先に読めるかを最終判定にする。

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