─ “高嶺の花”から“本物志向の選択肢”へ──変わる価値観と消費者意識 ─
※本記事は「タイのクロコダイル産業史|革製品製作の始まりから現在までの歩み」で紹介されている“1980年から現在のタイ国内市場におけるクロコダイル製品の変遷”を詳しく掘り下げたものです。
選ぶ人が変わった──タイのクロコダイル文化、40年の進化の軌跡
■ 今、タイのクロコダイル製品が熱い──しかし、それは突然始まったわけではない
私たちがタイの老舗工房と出会い、
その技術力と誠実なモノづくりに心を打たれたのは、決して偶然ではありません。
実は、タイ国内におけるクロコダイル製品市場には、40年にわたる確かな積み重ねがあったのです。
本記事では、1980年代から現在にかけてのタイ国内におけるクロコダイル製品の市場変化、
その背景にある社会・経済・文化の動きに着目しながら、
今私たちが手にしている「タイ製高品質クロコダイル財布」の真の価値を解き明かします。
■ 1980年代:富裕層と海外観光客向けの“希少高級品”
1980年代、タイ国内におけるクロコダイル製品は、
一般市民にとってはほとんど縁のない高級品でした。
なぜなら──
- 野生種の乱獲とワシントン条約発効による規制
- 養殖技術が未成熟で流通量が極めて少ない
- 革の品質が安定しておらず、高価格に設定されていた
これらの背景から、当時のクロコダイル製品の多くは、
政府関係者、財閥、王室関係者の“贈答用”または、
海外からの観光客向けのラグジュアリー土産として市場に流通していました。
財布・バッグ・ベルト──いずれも店頭で“ガラスケースに入って展示”され、
一部の人しか手に取れない存在だったのです。
■ 1990年代:CITES養殖の本格化と「タイ製クロコダイル」産業の黎明期
1990年代、CITES(ワシントン条約)に準拠した養殖が本格化し、タイ製クロコダイルの信頼性が国際的に高まりました。その先駆けとなる動きは、第13回|養殖の黎明期を土台としています。
1992年、タイ国内で本格的なCITES登録養殖場が相次いで誕生。
これにより、シャムワニを中心とした合法的かつ安定的な供給体制が整います。
この段階で、国内にも少しずつ“実需”の風が吹き始めました。
- 都市部の富裕層がステータスとして所持
- 「高級ギフト市場」でクロコダイル財布が使われ始める
- 海外バイヤー向け展示会で注目を集め、タイブランドとしても認知され始める
とはいえ、価格はまだ一般層には手の届かないもので、
「高級品」=「装飾用」という認識が強い時代でした。
■ 2000年代:タイ国民の可処分所得上昇と“選ぶ目”の成熟
2000年代に入り、タイ経済は急速に発展します。
都市部中間層の所得水準が向上し、“高級品を買える層”が拡大。
このころから──
- クロコ製品が「資産的価値のある実用品」として認識され始める
- デザイン・加工技術の進化により、若年層・女性層にも人気が広がる
- 市場で“見た目の派手さ”よりも“作りの丁寧さ”が評価されるようになる
特に首都バンコクでは、「ブランドではなく、素材と作りで選ぶ」という価値観が浸透し始めました。
これは現在の日本市場における“本物志向”とも共鳴する、非常に興味深い動きです。
■ 2010年代:国内デザイナー・工房の台頭とブランド志向の転換
2010年代に入り、タイ独自のデザインや工房が台頭し、“ロゴより物語”という価値観が定着し始めました。この動向は、第9回|職人文化と技能継承と深くつながっています。
この時期、クロコ製品市場に大きな転機が訪れます。
それは、タイ人デザイナーや工房ブランドの台頭です。
具体的には──
- 元OEM職人が独立し、自社ブランドを立ち上げる
- 地方工房がSNSやレザーフェアで販路を確立
- 手縫いや手染め、オーダーメイドを強みにする職人ブランドが台頭
こうして、「タイ製=OEMや安物」というイメージが覆され、
“工房の名前で選ばれる製品”が登場し始めました。
一方で、ブランド志向は弱まり、
「どこのブランド?」ではなく、「どんな革で、誰が仕立てたか?」が問われるようになります。
■ 2020年代:コロナ禍が生んだ“地元回帰”と“職人再評価”の動き
グローバル化からローカルへの揺り戻し──コロナ禍をきっかけに、地元工房の価値が再評価されています。この“信頼の原点”への回帰は、第6回|老舗工房の役割とも重なります。
コロナ禍で海外旅行が制限され、国内消費に目が向けられるようになると、
タイ国内では**“本物を長く使う”という価値観が再評価**されました。
- 短期的な流行品よりも、丁寧な作りの製品に注目が集まる
- 職人との距離が近い製品への信頼が高まる
- 国内の老舗工房が再評価される流れが加速
この中で、クロコダイル財布は**「持つことが誇りになる製品」**として位置づけられるようになります。
たとえば──
- 昇進・起業祝いに、自分で「自分のため」に購入
- 親から子へ、特別な贈り物として選ばれる
- 「手入れしながら育てる」楽しみを求めて選ばれる
つまり、“タイ国内でのクロコ財布”は、
単なる高級品ではなく、「人生の節目に寄り添う道具」へと進化してきたのです。
■ 購入者の声に見る、価値観の変化
50代・バンコク在住・経営者
「若いころはロゴで選びましたが、今は“どう作られたか”が重要。
この財布は、私が自分の目で選んだ“技術”です。」
60代・タイ東北部在住・元公務員
「退職祝いに自分でクロコダイルの財布を買いました。
手縫いで、仕上げも美しい。10年後も使っていたいと思える品です。」
このように、“タイ国内の購入者”の目が成熟していることこそ、
日本でも安心して「タイ製の高品質クロコダイル財布」を選べる理由になります。
最後に
40年かけて育まれてきた、タイ国内でのクロコダイル革製品市場。
それは「高価な贈り物」から「誇りある選択」へと、静かに確実に進化してきました。
私たちは、そうした背景を持つタイの老舗工房と直接つながり、
今なお、職人の手によって一つずつ丁寧に仕立てられている製品だけを、
自信を持って日本の皆様にお届けしています。
- ロゴより技術
- ブランドより物語
- 価格より納得
もしあなたが、そうした基準で“次の財布”を探しているなら──
タイで生まれ、育てられ、選ばれてきたクロコダイル財布が、
きっとその答えになるはずです。
タイのクロコダイル産業の全体像を、もっと広く知りたい方へ──
本記事は「タイのクロコダイル産業史|革製品製作の始まりから現在までの歩み」にて取り上げている“1980年から現在のタイ国内市場におけるクロコダイル製品の変遷”に関連した内容です。