クロコダイル製品、パイソン製品は現地の工場に直接製作依頼し、熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド。大量生産では決して真似できない、細部にわたる職人のこだわり。本物を求めるあなたにも手に取っていただきたいと願っています。
ヌメ革とは、植物性タンニンを使って時間をかけて鞣(なめ)された、最も自然に近い革

【第36回】カービング初心者が避けるべき道具選びの失敗例|正しい選定で上達スピードが変わる!

はじめに|「道具選びで失敗した…」を防ぐために

レザーカービングを始めようと意気込んだものの、最初に直面する壁が「道具選び」です。インターネットやSNSで見かける「おすすめセット」や「初心者向けスターターキット」に飛びついた結果、

「彫りづらい…」
「線が綺麗に出ない」
「こんなにガタつくの?」

といった不満や挫折につながるケースが少なくありません。
この記事では、初心者が陥りやすい道具選びの失敗例と、その回避法を丁寧に解説していきます。


失敗例①:安価すぎるスターターセットを選んでしまう

● よくある例

Amazonやメルカリ等で見かける「カービング入門セット(10点セットで2,000円程度)」のような製品。価格の手軽さに惹かれて購入する人は多いですが、実際に届くと、

  • 刃先が鈍い
  • ハンドルが滑る
  • ツールの形状が正確でない

などの欠陥が多く、練習にならないどころか、技術の妨げにすらなることも。

● 対策

最初から高級工具を揃える必要はありませんが、「カービング専用」に設計された道具を選ぶべきです。特に以下は信頼性の高いブランドや職人製を選びましょう:

  • バックグラウンダー(背景打ち)は質が命
  • スーベルナイフ(Swivel Knife)は回転精度が高いもの
  • スタンプは凹凸がくっきりしているかを確認

【注1】海外製の激安セットは多くが「カービング風」ツールであり、正規用途で作られていないこともあります。


失敗例②:スーベルナイフの刃を研がずに使ってしまう

● よくある例

スーベルナイフは線を彫るための道具ですが、購入直後の状態では刃が研がれていないことが多いです。これに気づかず、

「全然切れない!」
「線が革に入らない!」

と感じてしまい、技術の問題と勘違いする人が多数。

● 対策

スーベルナイフを使う前には、専用の砥石やバフで研磨する必要があります。鏡面仕上げになるまで研いでこそ、本来の性能を発揮します。

【注2】スーベルナイフの研ぎには、6000番〜8000番の仕上げ砥石やフェルトバフ+青棒の組み合わせが定番。


失敗例③:グリップ感の悪いハンマーやマレットを使う

● よくある例

木製またはプラスチック製の安価なマレットを使ったところ、

  • 握りにくい
  • スタンプを打ちづらい
  • 手首が疲れる

という問題が発生。結果として打刻が安定せず、彫り跡が不鮮明になるという失敗に繋がります。

● 対策

  • ウレタン製のヘッド+木製ハンドルのものは比較的疲れにくくおすすめ
  • 握ったときに「手に馴染むか」を重視する
  • 軽すぎると打撃力が伝わりにくいので300g前後が標準的

【注3】プロは用途別に複数のマレットを使い分けますが、初心者は1本で十分です。


失敗例④:すぐに電動工具に頼ってしまう

● よくある例

「作業効率を上げたい」との理由から、電動グラインダーやミニルーターを早い段階で導入し、スタンプやエッジ処理に使用。結果として、

  • 革の表面を削りすぎる
  • 力加減がわからない
  • 音や振動で集中できない

という問題が発生します。

● 対策

電動工具は確かに便利ですが、手作業での基礎を固めた後で導入すべきです。初心者段階では「手の感覚を育てる」ことが最優先です。


失敗例⑤:必要のない道具まで揃えてしまう

● よくある例

「全部セットで揃えた方がいいだろう」と考え、20〜30点入りの道具セットを購入。しかし実際に使うのはそのうち数本だけで、他は押入れ行きというパターンが非常に多いです。

● 対策

まずは必要最小限の5本程度の道具から始めるのが理想です。以下は初級者に必要な基本ツール:

  1. スーベルナイフ
  2. バックグラウンダー
  3. ベベラー
  4. パーターン(花中心打ち)
  5. モデラ(転写用)

【注4】道具は「練習→必要を感じた段階で買い足す」がもっとも効率的かつ経済的です。


失敗例⑥:革と道具の相性を理解せずに選ぶ

● よくある例

厚さや質の違う革に対して、同じ力加減・同じ道具で彫ろうとして失敗。

  • 革が硬すぎて彫れない
  • ツールの跡がガタつく
  • スタンプが滑る・滲む

● 対策

革によって適した道具・調整が異なります。

革の種類対応する道具例注意点
サドルレザー(2.5mm)標準的なツール最も扱いやすい
薄手レザー(1.0mm以下)軽量マレット、浅彫り強く打ちすぎ注意
植物タンニン革(硬質)よく研いだスーベル湿らせ方を均一に

まとめ|正しい道具選びが作品の質と上達スピードを決める

レザーカービングは道具の選び方一つで、結果が大きく変わります。技術を磨くためには、技術に見合った道具を選び、必要に応じて段階的に拡張することが鍵となります。

最初に失敗をしてしまっても大丈夫。多くの経験者が同じ過ちを経験しています。この記事を参考に、あなたの道具選びがより確実なものとなれば幸いです。


注釈

【注1】「レザークラフト道具完全ガイド」クラフトスタイル編集部, 2020年
【注2】『スーベルナイフ研磨講座』by ToolSmith Japan, YouTube教材より
【注3】カービング職人・西尾卓也氏インタビュー記事「打刻と道具の関係」より
【注4】Craft Japan Vol.28『レザークラフト最初の10本』


参考文献

  • 『レザークラフト入門』高橋一郎, 誠文堂新光社, 2017年
  • 『革細工の基礎と応用』牧野工芸, 2019年
  • 『失敗から学ぶレザークラフト』クラフトマンシリーズ, 2021年
ヌメ革とは、植物性タンニンを使って時間をかけて鞣(なめ)された、最も自然に近い革
最新情報をチェックしよう!
>完全限定生産 熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド

完全限定生産 熟練の職人が丁寧に手作業で作成したハンドメイド

大量生産では決して真似できない、細部にわたる職人のこだわり。そのこだわりが、当店のクロコダイル、パイソン作品には詰め込まれています。本物を求めるあなたにもぜひ手に取っていただきたいと願っています。華やかなブランドロゴや大量生産品では決して得られない、唯一無二の価値を感じていただけるはずです。

人生を共に歩む「相棒」として、あなたの毎日を豊かに彩り、特別な存在となるでしょう。

CTR IMG