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【第56回】カービングの基本工程|トレース〜カット〜刻印までの流れ

はじめに|カービングは「段取り」が命

レザーカービングの美しさは、単に図案や技術だけで決まるものではありません。実際には「工程=段取り」をきちんと理解し、正しい順序で丁寧に作業を進めることが、完成度を大きく左右します。

この記事では、初心者の方が最初に習得すべき「基本工程」である

  • トレース
  • カット
  • スタンピング(刻印)

の3ステップを中心に、作業の順序とポイントを解説します。

【第56回】カービングの基本工程|トレース〜カット〜刻印までの流れ


1. 図案を革に写す「トレース」工程

● トレースとは?

トレースとは、紙に描かれた図案を革へ転写する作業のことです。単なる下書きではなく、カービングのすべての工程の「土台」となる大切なステップです。

● 使用する道具

  • トレースフィルム(セロハンのような素材)
  • トレーサーまたはボールペン型の道具
  • モデラやスタイラス
  • テープ(固定用)

● トレースの手順

  1. 図案をトレースフィルムに写す: 印刷した図案をフィルムに重ね、ペンでなぞる。
  2. フィルムを革に固定する: 水で湿らせた革(ケーシング済)にフィルムをマスキングテープで固定。
  3. トレーサーでなぞる: 圧を均一にかけながら図案を革に写し込む。

● 注意点とコツ

  • ケーシング(湿らせた革の状態)を適切に保つこと。
  • 圧力は強すぎず弱すぎず均等に。

注釈:革が乾きすぎているとトレースが薄くなり、湿りすぎていると線がにじむため、ケーシングの管理が重要です[1]。


2. カービングナイフで「カット」する工程

● カットの目的

トレースされた図案のラインに沿って、カービングナイフで革を切り込み、立体感のあるラインを作る工程です。

● 使用する道具

  • カービングナイフ(スーベルナイフ)
  • 回転刃のメンテナンス済のもの
  • 回転砥石・革用研ぎ器

● カットの手順

  1. ナイフの刃を確認: 鋭利に研いでおく。
  2. 姿勢と持ち方を意識: 肘を安定させ、手首を中心に回転させる。
  3. カット開始: トレースラインに沿って刃を1~1.5mm程度入れる。

● よくある失敗例

  • 深く切りすぎて裏まで貫通する
  • 刃の角度が立ちすぎて革がめくれる
  • 手の動きがブレて線が歪む

● ワンポイント

初心者は最初、カットの練習用として「床革」や「半端革」を使い、曲線やループラインの練習をすると良いでしょう。

注釈:カットの深さは革の厚みにもよりますが、通常は0.8mm〜1.5mm程度が目安とされています[2]。


3. 「刻印」で陰影と立体感を出す

● スタンピングとは?

カットされたラインに立体感や装飾性を加えるために、刻印ツールで革を叩く工程です。

● 使用する道具

  • スタンピングツール(ベベラー、シーダー、バスケットなど)
  • ハンマーまたはモール
  • マットまたは打刻ベース

● スタンピングの手順

  1. 適切なツールを選ぶ: デザインや目的に応じて選定。
  2. 刻印位置を確認: カットラインの縁に沿って配置。
  3. モールで軽く叩く: 一定の力と角度でリズムよく叩く。

● コツと注意点

  • 力の強弱で陰影が変わるため、練習が重要。
  • ケーシングが不十分だと打刻が浅くなったりムラになる。
  • 刻印は「一打ごとに確実に」打つのがポイント。

注釈:プロは一打で決めることを重視し、「二度打ち」は避ける傾向にあります。リズムと集中力が求められる作業です[3]。


まとめ|工程を理解すればカービングが楽しくなる

レザーカービングにおいて、「トレース → カット → 刻印」という基本工程を理解することは、作品の完成度だけでなく、作業そのものの楽しさにも直結します。

  • 工程を飛ばさない
  • 適切な道具を使う
  • 革の状態を常に観察する

という3つの意識があるだけで、初心者でも一段上の仕上がりを実現できます。


参考文献・注釈

[1] 『レザークラフト技法事典』誠文堂新光社(p.42 ケーシングの状態管理)

[2] 『図解 レザーカービング技法』松本修一(スタジオタッククリエイティブ, p.23 切り込みの深さ)

[3] Tandy Leather 公式YouTube「Basic Leather Carving Techniques」 https://www.youtube.com/watch?v=8TnT6qfOp_A

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